美しいロゼットが魅力!アエオニウムの種類と育て方

アエオニウム属とは

アエオニウム属は、カナリア諸島を中心に三十数種類の原種があるとされています。多肉植物の属の中では小さなグループですが、美しいロゼットを展開することから、様々な改良品種が生み出されており、まさに少数精鋭といった植物です。
多くのものは成長と共に茎が伸びて下葉が落ち、木立した上にロゼットを付けるという奇妙な姿をしています。ほかにも明鏡や八咫の鏡など、木立せずに地面に円を描きながら広がるものや、グリーノビアのように時期によってロゼットを開いたり閉じたりするものなど、魅せるロゼットを持つ品種が多いのが特徴です。

アエオニウム属の種類

アエオニウムはよく似た形状でも違う名前の品種がたくさんあり、それらのほとんどは改良された園芸品種です。同じ品種でも和名で「錦」とついたものは、斑入りのものなので、育て方は「錦」がつかないものと同じです。特徴的な品種をいくつかご紹介します。

黒法師(Aeonium arboreum)

アエオニウムといえばこれ!というくらいポピュラーで、サンシモンとも呼ばれます。これをベースに改良された園芸品種も多く、丈夫で育てやすい品種でもあります。やや木化しながら茎を立ち上げ、いくつかに分岐はしますが細かく枝分かれはしません。枝の先端にロゼットを付けるので、黒いひまわりのようなイメージです。黒法師という名前ですが、実際には黒くないものもあったり、斑入りや赤みがかったものなどもあります。

明鏡(Aeonium tabuliforme)

明鏡という和名がついていますが、英名ではソーサープラント(皿植物)などとも呼ばれます。地面から茎を立ち上げずにロゼットを展開し、最大で直径50センチ近くまで大きくなります。葉が密に重なり合うロゼットはとても美しく、まさに緑色の皿のような植物です。

オーレウム(Aeonium aureum)

これはアエオニウムの中でもちょっと異質で、以前はグリーノビア属に分類されていました。グリーノビア属はアエオニウム属に統合されたようですが、いまだにグリーノビアの方が通りがよいようです。いくつかに分岐する枝の先端に緑色の美しいロゼットを付けますが、夏の休眠期にはこのロゼットが閉じて、つぼみから開きかけたバラの花のような形になります。群生した株が休眠に入ると、バラの花束のようになるとても美しい植物です。

衆讃曲(Aeonium urbicum)

学名からウルビカムとも呼ばれます。木立するタイプのアエオニウムで、葉の縁に斑が入ったものをサンバースト、葉の中央に斑が入ったものをムーンバースト、縁の斑がさらに大きくなり、葉の中央に緑色の線が入ったような状態になっているものをスターバーストという名で流通しています。見比べても細かい違いはわかりませんが、どれも美しい斑が魅力的です。

小人の祭り(Aeonium sedifolium)

アエオニウムの中では最小の品種です。学名の「sedifolium」は、「セダムのような」という意味で、その名の通りセダムのような小さな葉を付けます。葉には赤い模様が入っていて、おおよそほかのアエオニウムとは形状が異なります。比較的分岐が多く、その先端にやや不揃いの小さなロゼットを付ける姿は、セダムの小松緑に似ています。ただ、やはりアエオニウムなので、セダムのような剛健さはありません。

アエオニウム属の育て方

水やり

アエオニウムは冬型に分類される多肉植物で、夏は休眠します。そのため梅雨入りする頃から9月に気温が下がってくる頃までは、月に1~2回程度、霧吹きで葉水を与えるくらいにとどめ、水やりは極力ひかえます。
自生地であるカナリア諸島周辺の気候は、雨の多い冬の時期でも気温が15~20度程度あります。雨が多いといっても東京の梅雨の時期の半分以下です。夏は気温が20~30度くらいですが、ほとんど雨が降りません。気温が上がるにつれて水をほしがらなくなるのはこの気候に適応しているためです。
アエオニウムは冬型の多肉植物に分類されていますが、気温が10度を下回ると育成が止まるので、冬になって最低気温が10度を下回る頃から水やりをひかえます。冬は暖かい時間帯を狙って、月に1~2回程度水を与えます。
真冬と夏以外は、土が乾いたら鉢底から流れるくらいたっぷりの水やりを行います。水をやるいの注意としては、明鏡や八咫の鏡のように、茎が伸びずにロゼットを広げるタイプについては、上から直接水を与えると、いつまでも葉の間に水が残りがちなので、土に水を流し込むように水を与えましょう。葉の間に水がたまった状態が長く続くと、そこから腐ってきたりします。土に直接水を与えられない場合は、水やりの後葉の間にたまった水を吹き飛ばすなどの工夫が必要です。

肥料

秋から春にかけての育成期に、緩効性の固形肥料を月に一回少量与えるか、薄めた液肥を月に1~2回程度与えると育成がよくなります。夏場と厳寒期は育成が止まるので肥料は与えません。

アエオニウム属の日常のお手入れ

日当たり

アエオニウムの育成適温は、10度前後から25度前後と、人間にとっても割と快適な温度が好きです。そのため基本的には地植えせずに鉢植えにして、寒い季節は室内に取り込んで越冬させた方が無難です。アエオニウムは日当たりのよい場所を好むので、休眠期以外の季節はよく日に当ててください。特に色が鮮やかな品種は、よく日に当てた方が色がはっきり出ます。真夏は休眠期ですし、直射日光は強すぎるので、半日陰などに移動させましょう。
お住まいの地域にもよりますが、地植えされて大きな茂みを作っている黒法師を何度か見かけたことがあるので、関東以南ではところによって地植えで越冬もするようです。地植えうす場合は、雨が直接当たらない軒下などがよいでしょう。

風通し

アエオニウムは夏の暑さと群れにとても弱い植物です。黒法師など、木立する品種はまだよいのですが、明鏡は八咫の鏡など、地面に直接ロゼットを広げる品種については、風通しの悪い場所に置くと、すぐに蒸れてしまうので、なるべく風通しの良い涼しい場所で管理してください。

植え替え

アエオニウムは、少なくとも2~3年に一度は植え替えが必要です。この期間が経過していなくても、水を与えたときに鉢底から水が出なくなったり、水の吸い込みが悪くなってきたら植え替えのサインです。また、木立する品種については、鉢が株を支えきれずにぐらついているようなら植え替えが必要です。
鉢から抜いたら古い土と痛んだ根を落として一回り大きな鉢に植え替えます。植え替えの適期は、春と秋ですが、植え替え直後に夏を迎えるとリスクが高いので、育成期に入る秋ごろか、真冬を過ぎて暖かくなり始めた頃がよいでしょう。植え替えをする数日前から水を切り、株を乾燥させてお他方が植え替え後の経過がよくなります。

アエオニウム属の殖やし方

葉挿し

黒法師のなどのように、葉が外しやすい品種については葉挿しも可能ですが、ほかの多肉に比べると葉挿しの成功率はかなり低い気がします。葉挿しを行う場合は、ロゼットの一番外側のよく育った葉を外します。外した葉は日陰に置いておくとやがて根か芽が出ますが、いずれも確率が低いため、挿し木の方がおススメです。アエオニウムの葉挿しは、不可能ではないという程度に思っておきましょう。

挿し木

木立したアエオニウムは、挿し木で増やすのが簡単です。ロゼットの下の茎を、好みの長さに切って、切り口を乾かしてから土に挿しておけば簡単に根付きます。株が古くなって樹形が乱れてきた場合の仕立て直しも同じ手順で行えます。あちこち枝分かれしてぐにゃぐにゃしてきたら、仕立て直しと増殖を兼ねて挿し木してしまいましょう。切った元の株も、そのままにしておけば茎から新しい芽を出してきますし、長さを調節するために切った茎だけの部分も、切り口を乾かして土に挿しておけば、やがて茎の途中から小さな芽が出てきます。茎だけを挿す場合は、上下を間違えないように注意しましょう。
挿し木の適期は春と秋ですが、休眠に入る前にできるだけ体力をつけさせるため、暖かくなり始めた頃か、涼しくなり始めた頃に行うのがよいでしょう。

実生

アエオニウムは実生で増やすこともできます。自家受粉については諸説あり、はっきりしたことはわかりませんが、花が咲いたロゼットは枯れてしまいます。花房が枯れたら種を取り出して湿らせた小粒の赤玉土や鹿沼土などに蒔いておくと、数日から1週間程度で発芽してきます。発芽したらしばらくは腰水で管理して水を切らさないようにしておきますが、気温が高くなってくるまでには腰水をやめたいので、タイミング的には秋に気温が下がり始めた頃に種を蒔き、冬は室内で管理し、春に暖かくなるころに腰水をやめるくらいがよいでしょう。

アエオニウム属の寄せ植え

アエオニウムは冬型の多肉植物ですが、寒さは苦手な方なので、ほかの多肉植物と寄せ植えする場合は、春秋型か冬型のものがよいでしょう。品種によって形状が変わるので、いろいろな植物との組み合わせが楽しめます。ただし、明鏡や八咫の鏡のように茎が伸びずにロゼットを広げていくタイプは、ほかの植物の組み合わせると成長が阻害されがちなので寄せ植えには不向きかもしれません。

まとめ

アエオニウムは美しいロゼットを楽しむ植物です。エケベリアよりも強い色のものが多く、木立するものも多いので、エケベリアとはまた違った面白さがあります。夏の暑さと群れに注意すれば、多肉植物の中では比較的丈夫で育てやすい部類なので、初心者の方でも失敗なく育てられるかと思います。黒法師は流通数も多く、小さな苗の状態でホームセンターなどでも手に入ります。どんな多肉植物でもそうですが、流通数が多いものは育てやすく増やしやすいものです。アエオニウムを育ててみたいとお考えの方は、まず黒法師を探してみるのがよいかもしれません。

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