模様と形がマニアを惹きつける!アストロフィツム兜の育て方

アストロフィツム・兜丸の基本情報

分類:サボテン科アストロフィツム属
学名:Astrophytum asterias
原産地:メキシコ(タマウリパス州周辺)

アストロフィツム・兜丸の特徴

アストロフィツム・兜丸は、単純に兜や兜丸と呼ばれることが多く、その形状やバリエーションの豊富さから、愛好家が非常に多いサボテンです。基本形はまんじゅうのような扁平の球体で、8つの陵があります。それぞれの陵には、白い斑点があり、中央部分を縦に刺座が走ります。刺座にはトゲの代わりに兎のしっぽのように丸く毛が生えています。白い斑点もよく見るととても細かい毛になっていて、この斑点が星のようにちりばめられているため、アストロフィツム属は有星類とも呼ばれます。

兜丸は、その球形の姿の愛らしさもさることながら、模様の美しさが多くの愛好家たちを虜にしています。白い斑点が大きくなって、肌全体が白くなっているものや、美しい模様を描いているもの、それらを交配させ、さらに模様を強くしたものなど、愛好家たちの手によって様々なものが世に送り出されています。基本的には突然変異で変わった特徴が出るので、どんな模様が出るかは運まかせですが、白い部分が多いもの同士を掛け合わせ、より特徴を濃くしていくことで、ある程度はコントロールできるようですが、優秀な株は数万株にひとつとも言われています。
ノーマルタイプ以外は、白い斑点が大きくなったスーパー兜やミラクル兜、斑点がない瑠璃兜、陵が8から5に減った五陵兜、斑入りの兜錦など、変化の仕方で名前が変わるものもあります。また、基本的に花色は白や黄色ですが、濃いピンク色の花が咲く赤花兜というのもあります。変異種が多いということは、それだけその植物の人気があるということです。珍しいものは高値で取引されるので、なおさら愛好家たちの心をくすぐるようです。
アストロフィツム属は低温と多湿に弱いというのも大きな特徴のひとつです。他のサボテンよりもシビアで、何年も調子よく育てていたものが、ある日突然ぺしゃんこに溶けてしまうこともあります。

アストロフィツム・兜丸の育て方

用土

水はけの良い土を好みます。市販のサボテンや多肉用の用土でかまいません。肥料成分が多いと徒長しがちなので、自分で配合する場合も、なるべく多肥にならないようにしましょう。

水やり

育成期が春から秋なので、初夏かから初秋にかけては土が乾いたらたっぷりと与えますが、真夏と真冬は育成が止まるので、この時期の水やりは控えます。

肥料

植え替えの際に元肥として緩効性の固形肥料を混ぜ込んだりもしますが、基本的に多肥は好まないので、特別追肥はしなくても大丈夫です。多肥にすると上に伸びやすい気がします。

置き場所

日当たりと風通しの良いところを好みますが、真夏の直射日光に当たると肌が焼けるため、真夏はある程度遮光するか、半日陰などに移動させましょう。

夏の管理

自生地の夏は、気温が20~35度程度ととても暑く、日本の夏とさほど変わりませんが、雨がほとんど降らないため、空気はからからに乾燥しています。日本の夏は高温多湿のため、この高い湿度との戦いが兜丸の夏越しのキーポイントになります。
自生地は強い日差しがギラギラと照り付ける半砂漠地帯で、兜丸たちは地面に潜っています。地上にはほんの少し顔を出していますが、砂をまとって強い日差しを避けています。そのため真夏の強い日差しに当てると火傷したようになってしまい、焼けた部分は元に戻りません。梅雨明けした頃から8月いっぱいくらいまでは、あまり強い日差しに当てないように注意してください。ある程度遮光してやるか、半日陰などに移動させましょう。真夏以外はよく日に当ててください。
兜丸の育成期は春から秋にかけてですが、真夏は成長が止まります。根が蒸れるとあっという間に腐りますので、真夏の水やりは極力ひかえ、蒸れないように注意しましょう。水をひかえると、「腰折れ」といって株全体が萎びて平べったくなりますが、秋に水やりを再開するとまた膨らんで丸い形に戻ります。水をやりすぎて腐らせてしまうくらいなら、水をやらずに腰折れした方がましです。
兜丸の表皮は意外と厚く、中身が腐ってきてもしばらくは丸い形を維持しています。急にぺしゃんこになった場合、中が腐っている可能性もあるので、押してみて柔らかいようであれば腰折れではなく腐敗かもしれません。
夏の間は細根の枯死を防ぐために少量の水やりを行うにとどめ、なるべく乾燥させた状態を維持してやります。風通しの良いところに置き、水やりを行う際には夕方以降、気温が下がってきてからにしましょう。

冬の管理

自生地の冬は気温が15~25度程度あり、雨は夏よりも少なく、極めて乾燥した状態になります。日本の冬はそこからさらに10度以上気温が下がり、雨もそれなりに降るので、兜丸を屋外で越冬させることはできないと思ってください。気温が15度を下回るようになったら屋内に取り込んで、10度以上の気温が維持できる場所に置いてください
10月頃から徐々に水やりの回数を減らして乾燥気味に管理していると、耐寒性が上がってある程度の寒さには耐えられるようになります。屋外の加温しないガラスケースに入れていますが、朝晩は0度近くまで気温が下がっているはずです。その状態でも問題なく生きているので、寒さに強い個体であれば一時的に氷点下になっても耐えられると思います。
冬場も極力水やりをひかえて、暖かな日の午前中に、細根を守る程度の少量の水を与える程度にします。

アストロフィツム・兜丸の増やし方

実生で増やす

アストロフィツム・兜丸は、実生で増やします。まれに子株を生じることがあるので、その子株を外して増やすという方もいらっしゃるようですが、成功率は極めて低いような気がします。腕が悪いのか、外した子株が悪いのか、子株を外してロホホラなどと同じように挿してみても、一度も成功したことがありません。なので、アストロフィツム・兜丸は、実生で増やす方法しかないと思っています。

そして悩ましいことに、アストロフィツム属は自家受粉しません。自家受粉したという話も聞きますが、おそらくとても稀なことか、気付かずによそから蜂や蝶などの昆虫が他の株の花粉を運んできたものと推測します。何度か密閉した状態で受粉を試みましたが、結実せずに花が落ちたので、自家受粉するとしても、確率はかなり低いと思います。調子のいい株は年に数回花を咲かせるので、複数株を持っているなら種の自家採取も難しくはないです。
種子自体はネット上ではよく販売されているので、比較的入手はしやすいはずです。種の大きさも2ミリくらいあるので、扱いやすい大きさです。

種を蒔くケースは、底面吸水できるものがよく、そこに切れ込みを入れたプラスチックのトレーなどでもかまいません。ケースの底に小粒の硬質赤玉土や、日向土など、排水性の良い土を入れます。量はケースの深さにもよりますが、全体の半分から七分目程度かと思います。その上に芝の目土や赤玉土の細粒など、ある程度保水性のある土を入れます。このときケースや土を加熱して滅菌する方もいるようですが、そこまでシビアに行わなくても発芽はします。
ケースの底面から吸水させた土の上に種を蒔き、覆土はしません。数日で種が割れて発芽してきます。発芽率は良いと思います。
発芽してからもしばらくは腰水で管理しますが、できるだけ風通しはよくしておきましょう。腰水管理でふたをしておくとカビが生えやすくなるので、ベンレートなどで防カビするのも良いでしょう。
種まきは寒の戻りがなくなった4月頃から行うのが良いと思います。梅雨から真夏は雨の当たらない涼しい場所に置き、直射日光に当てないようにします。幼苗に強い日差しを当てると、赤紫色に変色します。これはある程度遮光してやると元に戻ります。秋まで腰水で管理し、気温が下がるにつれて腰水管理から普通の水やりに変えていきますが、冬は室内に取り込み、やや乾燥気味に管理します。親株と同じ管理にすると、乾燥に耐えられないので、株の状態を観察しながら水やりの回数を調整します。
1年で1センチ弱くらいにはなりますが、そこからが山場で、1センチを超えたあたりから、突然バタバタと消えていくことがあります。同じケースで同じ管理をしていても、そういうことが起こるので、そこは自然淘汰と思って諦めます。2年目からはほぼ親と同じ管理でかまいませんが、親株よりも身体が小さい分、蓄えられる水が少ないため、水やりの頻度は親よりも多めで管理してください。
3年もすると3~5センチ程度にはなるので、そのころにはそれぞれの個性が出てきてだいぶかわいくなってきます。早いものは発芽から3年程度で開花してきますが、まだ株が小さいうちは開花や結実に耐えるだけの体力がない場合もあります。株が小さいうちは、花芽のうちに摘んでしまう方が無難です。

まとめ

アストロフィツム・兜丸は、栽培の歴史も長く、愛好家も多いので、流通数がとても多い品種です。値段も数百円から数万円までと幅広いので、初めて育てるという方は、手ごろな価格のものから挑戦しましょう。何年も育てているベテランの方でさえ、ある日突然原因不明の腐敗を経験しているほどデリケートな一面を持っています。雨の少ない乾燥地域で、地面に潜りながら生きている剛健な一面もありますが、基本的には他のサボテンよりも寒さや多湿に弱く、育てる際の難易度は高いと思ってください。それだけに兜丸を上手に数年育てられたら、サボテン栽培のノウハウを身に付けたという自信にもつながります。トゲのない不思議な球体は、サボテンを育てていればいつかはお迎えしたい品種のひとつです。ホームセンターなどで見かけた際は、その不思議な魅力を体感してみてください。

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