脱皮する不思議な石ころ!?リトープスの種類と育て方

リトープス属とは

リトープス属はハマミズナ科の植物で、多肉植物の大雑把なくくりではメセン類と呼ばれます。メセン類とは、ハマミズナ科の植物で、観賞用に栽培される品種をさすことが多いです。これは過去にこれらの多くの植物が、メセンブリアンテマム属に分類されていたことから、メセンや女仙(めせん)と呼ばれていた名残です。
リトープスのほとんどは、球体の上部を切り取ったような対になった葉のみの形状で、普段は土に潜って上部の平らな部分のみを出しています。平らな部分には複雑な文様があり、部分的に透明になっています。この平らな部分は窓と呼ばれ、土に潜った状態でも効率よく光を取り込めるような構造です。窓の部分から入った光は、アロエの可食部のように透明な葉肉を通過して、内部まで入っていけるようになっています。
原産地は雨がほとんど降らない地域なので、土に潜ることで水分の蒸散を減らし、窓から取り込んだ光で光合成を行っています。

リトープス属の種類

リトープスはどれも同じ姿をしていますが、品種によって窓の部分の色や模様が違うので、コレクター心をくすぐる植物です。産地によって耐寒性や耐乾燥性に若干の違いはあるものの、育て方はどれもだいたい同じです。多肉植物のタイプとしては冬型になります。

巴里玉(Lithops hallii)

灰色の葉に茶色やベージュっぽい窓を持つリトープスで、リトープスの中でも流通数の多い品種です。窓の色に個体差がありますが、模様が脳みそのようでちょっとグロテクすくと感じる方もいるようです。

微紋玉(Lithops fulviceps)

灰色がかった緑色の葉に、茶色っぽい窓を持つ品種ですが、窓には半透明の小さな斑点があります。この小さな斑点が黒っぽく見えるため、石ころのように見えるのが特徴です。これも流通数はやや多く、大型の品種でもあります。

日輪玉(Lithops aucampiae)

灰色の葉にやや赤みがかった窓を持つ品種で、窓の周囲が太陽が燃えているような模様になっています。特に色の赤い園芸品種はコロナ玉と呼ばれ、一層太陽のように見えます。

菊水玉(Lithops meyeri)

リトープスの中では窓の部分がやや丸みをおび、球形に近い品種です。窓の色も本体側の葉の色に近く、どちらかといえばラピダリアやプレイオスピロスなどのほかのメセン類に似た形状です。

青磁玉(Lithops helmutii)

全体的に翡翠や青磁のように、青みがかった緑色がとても美しい品種です。窓の部分がややふっくらとしており、いかにもメセンというデザインです。巴里玉や微紋玉に比べると流通数が少なく、見かける機会が少ない気がします。

リトープス属の育て方

水やり

リトープスは冬型に分類される多肉植物なので、育成の適温はおおむね5~20度程度です。最低気温が20度を下回るようになったころから育成期に入るので、それくらいの気温になってきたら徐々に水やりを始めます。育成期は土が乾いたら鉢底から流れるくらいたっぷりと水を与えます。最低気温が10度を下回るようになったら徐々に水やりの回数を減らし、冬は暖かい日の日中を狙って、月に数回程度の水やりにとどめます。
リトープスは南アフリカ周辺地域の、ほとんど雨の降らないところに自生しています。そのため極端に蒸れに弱く、夏をどう乗り切るかが最大の難所であり育成のポイントです。体にたっぷりの水を貯めているため真夏の暑さで体内の水の温度が上がると蒸れて溶けてしまいます。真夏は完全断水される方も多くいますし、窓の部分だけ濡らすとか、土の表面が湿る程度だけ、月に1~2回水やりをされる方もいます。いずれにしても夏場はたっぷりの水やりをしてはいけません。ためしに土から抜いた状態で室内の明るい場所に置いて夏越ししたことがありますが、秋にはちゃんと脱皮をして成長を始めました。それくらい夏の水やりはしなくても大丈夫ということです。
脱皮を始めたら水やりはしません。脱皮中は脱いだ皮の水分で育っていくので、外からたさなくても大丈夫です。脱皮中に水やりをすると、二重脱皮といって、もう一皮むけてしまうことがあります。そうなると中の新芽が育ち切っていないため、だいぶ小さくなってしまいます。くれぐれも脱皮が始まったら水やりはしないようにしてください。
水をやらずにいると、株全体がしぼんでシワッとしてきます。この状態なら水を与えればぷっくりと復活します。水をやりすぎて蒸れたりすると、ブヨッとしてきますが、この状態だとほぼ助かりません。水はやりすぎるくらいならやらない方がましと覚えておきましょう。

肥料

秋から春の育成期に、少量の固形肥料を与えるか、薄めた液体肥料を与えるとよいでしょう。ただ、もともとやせた土地で自生する植物なので、あまり多くの肥料をほしがりません。多肥にすると徒長しやすいので、肥料を与える場合は少量で大丈夫です。
植えつけや植え替えの際に、マグアンプKなどの固形肥料を少量混ぜ込んでおくだけでもかまいません。

リトープス属のお手入れ

日当たり

リトープスは日当たりを好む植物です。日当たりを好む割に高温多湿に極端に弱いため、湿度の高い状態で真夏の直射日光を浴びたら即死と思ってください。
育成期の10月頃から、翌年の梅雨入り前くらいまでは、日当たりのよい場所に置いてよく日に当てましょう。夏越しの体力をつけるためにも、育成期にはよく日に当ててください。梅雨入り頃からは断水し、半日陰や明るい日陰の涼しい場所に置いてください。夏越しが不安な場合は、室内の明るい場所などに置いて、なるべく涼しい環境を作りましょう。

風通し

リトープスは蒸れに弱い植物です。多くの品種は基本的に本体はほとんど土に潜っているため、株そのものには風が当たりにくい構造です。土の中に湿度をこもらせないようにするため、風通しの良いところに置くよう心がけましょう。特に夏越しの際は、高温多湿にならないように、あまり日の当たらない、風通しのよく涼しい場所に置きましょう。

植え替え

リトープスは成長が遅い植物なので、植え替えは数年に一度で大丈夫です。育成期に入る秋に行うのがよいでしょう。
土から抜いたら古い土と痛んだ根を落として植え直しますが、その際に数日間切り口を乾燥させた方が植え替え後の経過が良いようです。リトープスは深く根を張るので、なるべく深い鉢を使用してください。

リトープス属の増やし方

株分け

リトープスは、脱皮の際に分頭といって、割れた中身がふたつに分かれていることがあります。株分けをする際は分頭した株を分けます。それ以外では子株を出したり枝分かれすることがないので、株分けはあまり一般的ではありません。
株分けを行う際は、分頭した株をふたつに分けますが、どちらの株にも根がつくように分けるとリスクが少ないです。

~

リトープスは主に実生で増やします。自家受粉しないので、種を作るためには同じ時期に開花した株がふたつ以上必要になります。うまく受粉すると実ができます。実はいくつかの部屋に分かれていて、完熟した実が乾燥し、それが濡れるとカプセルが割れるように実が割れて中から種が出てきます。種を取りたい場合は、完熟した実を取り、それを割って種を取り出すか、水の中でもんでカプセルから出てきた種を茶こしなどでこしとります。
小粒の赤玉土や鹿沼土を湿らせ、その上に種を蒔いておくと、数日から2週間程度で発芽します。発芽してしばらくは水を切らさないように腰水にしておくとよいでしょう。
実生の適期は秋の育成期が始まる頃ですが、冬は腰水のままだと置き場所によっては凍ってしまうので、なるべく暖かいところで管理してください。芽が出たばかりの頃は特に群れに弱いので、暖かすぎない場所に置いてください。冬でも暖房がガンガンきいた部屋で腰水にしておくと、蒸れて一気に全滅などということにもなりかねません。
ただでさえ管理にクセのある植物なので、成長過程で消えていくことを踏まえて、たくさん種を蒔いて大量の苗を作り、その中で環境に適応して丈夫に育ったものが生き残っていくという方法が一般的です。

リトープス属の寄せ植え

リトープスは基本的にはほとんど土に潜った状態で、頭を少しのぞかせている程度です。水の与え方もほかの多肉よりもシビアなため、基本的にはほかの多肉植物と寄せ植えするのはおススメしません。品種によってカラーバリエーションが豊富なので、カラフルなリトープス同士の寄せ植えは宝石箱のようで見栄えがします。
実生を計画している場合は、複数の品種を寄せ植えにしておくと受粉の確率が上がります。

まとめ

リトープスは夏越しが難しく、初心者の方にはやや扱いにくい植物ですが、流通数が多いため、比較的簡単に手に入ります。また、何年も育てているベテランの方でも、ある日突然溶かしてしまうというややクセの強い植物でもあります。成長しても極端に大きくなることはありませんが、寿命は数十年ともいわれているため、上手に育てれば長い付き合いができるのも魅力です。石のような形で爬虫類のように脱皮しながら成長する不思議な植物と一緒に暮らしてみませんか?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA