一年中外に置けます!強さと美しさのセンペルビウムの種類と育て方

センペルビウム属とは

センペルビウム属とは、多肉植物としては珍しく、ヨーロッパ、コーカサス、ロシアなどの山岳地帯が原産で、さほど肉厚ではない葉を美しいロゼットを形成しながら大きくなる植物です。ラテン語の「Semper(常に)」と「vivus(生きている)」に由来するその名の通り、日本でも一年中屋外栽培できるほどの剛健な植物です。夏場の蒸れには若干の弱さを見せるものの、置き場所さえ気を付けておけば、一気に枯れてしまうことはまずありません。多肉植物とはいうものの、葉はそれほどぷっくりしておらず、硬いのが特徴です。寒くなると紅葉したりロゼットがギュッとすぼまってくるものもあり、一年を通して姿の変化を楽しむこともできます。

センペルビウム属の種類

センペルビウム属は、すべてエケベリアに似た規則正しく美しいロゼットを形成します。徒長しない限りは背の低いロゼットのまま大きくなり、ランナーを伸ばして子株を増やしながら群生します。秋になると美しく紅葉するものもあり、観賞価値も高い植物です。姿かたちはほぼ同じでも、実は違う品種ということがよくあるので、購入する際は札落ち(名札がないもの)していないものを買う方がよいでしょう。ポピュラーな品種をいくつかご紹介します。

巻絹(Sempervium arachnoideum)

巻絹は、クモノスバンダイソウ(蜘蛛巣万代草)という別の和名があり、その名の通り絹糸を蜘蛛の巣のように巻きつけたような姿です。ロゼットの中央部分の葉の先端に、白く細い糸がついており、それが隣の葉の先端同士を結び付けているので、蜘蛛の巣のように見えます。これが可愛いと思うか気持ち悪いと思うかは好みが分かれるところです。万代草の「万代」も、永久という意味があるので、蜘蛛の巣のような姿で永遠に存在する草という意味かと思われます。

綾桜(Sempervium simbriatum)

やや灰色がかった緑色の葉の先端が、赤茶色になっている美しい品種で、紅葉すると赤い部分がさらに広がります。よく子吹きして群生しますが、もともと中型の品種なので、群生しても威圧感のないサイズでおさまります。

相生(Sempervium calcaratum)

やや細長い葉は全体的に赤茶色で、若干シャープなイメージです。紅葉するとさらに赤色が濃くなり、美しさに磨きがかかります。葉が長い分、ほかの品種よりもやや縦に伸びるように見えますが、それでもせいぜいロゼットが球形になる程度なので、ほかの多肉植物よりはコンパクトです。相生もよく子吹きするので、赤い群生は存在感があります。

タランチュラ(Senpervium ‘Tarantula’)

タランチュラは交配種ですが、その名の通り赤い葉全体に白い産毛が生えていて、タランチュラのような姿をしています。産毛が生えた多肉植物は数多くありますが、そういったものの可愛らしさとは程遠く、タランチュラのような毒々しさを感じさせるかもしれません。個人的には好きですが、月兎耳や熊童子のように、女子の人気は得られないかもしれません。

バーンステイン(Senpervium ‘Bernstein’)

バーンステインも交配種ですが、ほかの品種に比べるとやや肉厚でツヤ感のある葉が特徴です。夏には鮮やかな緑色で、秋になると徐々に赤みを増し、冬には赤茶色になります。そして春になると黄色に変化していき、また夏に緑色に戻るというサイクルで色が変わっていきます。多くのセンペルビウムは寒くなると紅葉しますが、バーンステイン色の変化が楽しい品種はそう多くはないと思います。

センペルビウム属の育て方

水やり

センペルビウムは春秋型の多肉植物に分類されますが、扱いはかなりずぼらでも大丈夫です。育成期の春と秋には、土の表面が乾いたくらいでたっぷりの水を与えます。水をやり忘れたくらいで枯れることはないので、思い出したら与える程度でもそこそこ元気です。梅雨入りしたら雨の当たらない場所に移動させておいた方が安心ですが、水たまりにならないような場所であれば地植えしていても平気なので、これも思い出したら軒下に移動させるくらいで大丈夫です。夏は育成が止まるので、水はほとんど与えなくて大丈夫ですが、完全に断水すると外側の葉からカリカリに枯れてきて見苦しいので、時々水を与えます。これもただ見栄えが悪いというだけで、気候がよくなればまたみずみずしくなるので、思い出したころに水を与える程度で大丈夫です。冬も育成が止まるので、屋外の場合は完全断水で大丈夫です。時々雨が降ればそれで足ります。霜が降りても雪が積もっても特に問題なく越冬します

肥料

市販の培養土には元肥が入っているので、植え替えするまで特に追肥は必要ありませんが、春と秋に薄めた液体肥料を与えると、育成がよくなってよく子吹きします。株から離したところに緩効性の固形肥料を少量置いておく程度でもかまいません。

センペルビウム属の日常のお手入れ

日当たり

基本的には日当たりのよい場所を好むので、よく日の当たる場所で管理してください。真夏の直射日光に当たると葉焼けすることがあるので、真夏は半日陰などに移動させましょう。地植えする場合は、夏に半日陰になるような場所を選ぶか、背の高い植物の陰になるような場所を選びましょう。

風通し

センペルビウムは高温多湿が苦手なので、なるべく風通しの良い場所で夏越しさせましょう。苦手といっても弱いというほどではないので、そこまでシビアになる必要はありませんが、やはりジメジメと水はけの悪い場所では極端に育成が悪いので、置き場所は日当たりと風通しの良い場所を選んでください。地植えする場合はなるべく水はけのよく風通しの良い場所に植え付けましょう。

センペルビウム属の植え替え

センペルビウムは根張りの旺盛な植物で、ロゼット本体に対してモジャモジャの根がかなり広がります。植え替えの際に鉢から抜いてみると、その根の広がりに驚くかもしれません。そのため2~3年で鉢いっぱいに根が広がって根詰まりするようになります。根詰まりすると当然水はけが悪くなるので、根腐れのリスクが高まります。水を与えたときに鉢底から水が出てくるまでに時間がかかるようになってきたら植え替え時です。
鉢から抜いたら古い土と痛んだ根を落として植え直しますが、このときにある程度根は切り詰めてかまいません。根を切り詰めるとロゼットがすぼまったようになることがありますが、根が充実してくればまたきれいに開いてきます。地植えしている場合は特に植え替えしなくても問題ないかと思います。

センペルビウム属の増やし方

株分け

センペルビウムの殖やし方は、ほぼ株分けの1択です。葉挿しの成功率は極めて低く、葉挿しはできないと思っていた方がいいと思います。実生もひとつの手段としてはありですが、センペルビウムは花を咲かせた株は枯れてしまうので、花芽が上がってきた時点で切り取ってしまうのが一般的です。
センペルビウムは増やそうと思わなくても株の根元からランナーを伸ばして、その先に子株を生じます。子株は勝手に土に根を下ろして新たな株として成長を始めるので、増やす場合は根を下ろした子株を抜いて、別の場所に移動させるというやり方です。ランナーの長さは品種によって違うようで、親株をぐるっと囲むように子株が出てきたり、親株から少し離れたところで新たな子株が出てきたりします。株を分ける場合、ランナーの先についている子株を外すより、すでに根を下ろしたものを外す方が管理が簡単です。まだ根の出ていない子株を外す場合、季節や管理によってはそのまかれてしまうことがあります。

実生

センペルビウムは花を咲かせた株は枯れてしまうことが多いです。そのため、花芽が上がってきたら切り取ってしまうのが一般的ですが、お気に入りの株同士を交配させて新しい株を作るのも面白いかもしれません。
種はエケベリアなどと同じように、ごく微細でほこり程度の大きさしかありません。細かい赤玉土や川砂などに種を蒔いたら、ふるいなどで軽く覆土します。発芽するまでは水を切らさないように腰水で管理するとよいでしょう。本葉が展開してロゼットができてきたら、腰水をやめてかまいません。
開花時期は早春から初秋にかけてなので、実生を行うなら晩秋の頃がよいでしょう。春に種を蒔くと、小さな苗では夏越しのときに一気に溶けてしまうリスクがあります。晩秋に種を蒔き、小さな芽のうちは室内の暖かいところで管理し、春になったら徐々に慣らしながら屋外管理に切り替えると失敗が少ないかと思います。

センペルビウム属の寄せ植え

センペルビウムは多肉植物の中では異質の存在で、一年中屋外で管理しても大丈夫な植物です。また、子吹きしやすい特性もあるのでほかの多肉植物との寄せ植えは不向きです。屋外管理せずに、ほかの植物と寄せ植えすることもできますが、やはり子吹きして群生してくると、どうしてもほかの植物を邪魔する存在になってしまいます。管理に手間をかけたくない場合は、大きめの鉢に数種類のセンペルビウムを寄せ植えすると、季節によって様々な変化が楽しめます。

まとめ

センペルビウムは、多肉植物の中では最も寒さに強い部類の植物です。霜が降りても雪が積もっても、めげることなくその名の通り「常に生きています」。寒さや暑さで多少枯れる部分はありますが、気候がよくなるとまた元気になります。そういった意味では地植えできる数少ない多肉植物のひとつです。ロックガーデンなどによく似合うため、そういったお庭をお持ちの方は、ぜひ岩陰に植えてみてください。石がゴロゴロ転がるような荒れ地でも、しっかり根を張って、どんどん子株を増やしていきます。多肉植物初心者の方でも、いろいろな植物を枯らしてしまった苦い経験をお持ちの方でも、センペルビウムであれば上手に育ってくれると思います。ホームセンターなどで多数販売されているので、好みの形や色のものを探してみてはいかがでしょうか?

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